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5桁の意味 Meaning of 5digit serial number?

今日は5桁の意味について考えてみたいと思います。

まず、セルマーのテナーサックスは5桁のシリアル、つまり9万台までの物だけ圧倒的な人気を誇り、特別扱いされているという事実があります。

そして、各番台(5万、6万、7万、8万、9万)にはそれぞれ十分に感じ取れる違いあります。

さて、ここで何故、5桁の物が人気があり、何故6桁ではだめなのか? 10万台ではだめなのか? というようなことを考えてみたいと思います。

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まず、楽器の前にジャズの歴史を考えてみたいと思います。

 マークシックスになったのが1955年あたり、 54年にも製造されてたかもしれませんが、製造された直後に出回る、、、というよりは、運ばれて、評判が伝わって、人々が買い始めて、、、、ということには1年はかかるでしょうから、55年あたりに、やっと町で使ってる人を見かけだした、、、、と考えるのがいいでしょう。

55年といえばパーカーが亡くなって、ハードバッブの始まりの時代、、、、。
そして、9万7千あたりが、61年〜62年の境目になります。61年というと、モードは既に始まっており、ジャズも衰退しはじめて色々なモダンスタイルがではじめる時代です。

さて、先ほども申し上げた通り、楽器が出た年にいきなりみんなが使い始めた、、、ということは考えにくいと思います。みんなが常に新品の楽器を使っていることはありえないので、 例えば60年のレコーディングでシックスを使っている人を見た場合、60年製のものよりは、おそらく58年、59年製、、、あるいはそれ以前のセルマーを使っている可能性が高いのではないでしょうか?

そういった理由で、我々がよく耳にする、いわゆるトラディショナルジャズ、、、の名盤は50年代のものが多いですから、ほぼ60年以前に作られた5桁の楽器で奏でられていると思われます。

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(写真は9万1千、、60年あたりの楽器です)


トラディショナルジャズとしてはかなり後期の1964年のレコーディング、、、でも、もしそのプレーヤーが楽器を3年前に買ったとしていれば、9万5千、、、あたり???をつかっていることになります。

逆に、10万台、、62、63年製、、、といっても、実際に耳にするのは、それ以前の楽器で、62、63年製の楽器が聞けるのは、実際もう少し後のレコーディングの可能性が高いと思われます。

ということで、結論として、

50年代、60年代初期のレコーディングは、時代柄ほぼ5桁、、、、シリアルでいうなら、9万初期以前が使われている

ことで、リアルタイムに使われたことに意味がある。

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今度は楽器サイドから考えてみたいと思います。

前述のとおり1万台の違いでも、、明らかな差が感じられますが、5桁の中では、7万中期くらいに大きな変化が見られます。

つまり、7万以前はぼわっとしたフォーカスの甘い感じの音。それ以降は、徐々に音が締まった、中心に芯があるような音になります。

7万中期というと1958年製、、、、つまりプレーヤーが楽器を買って、実際に音を聞くのはそれよりもあとでしょうから、7万台の音も実際には60年くらいから聞かれ始める、、、、、、と考えると、、、、

50年代トラディショナルジャズはほぼ、、、7万台まで、、、、。
60年台初期のレコーディングも、9万台あたり、、、。

逆に11万台なら、65年以降、、、、のサウンドの可能性が高いということになります。

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結論

やはり、時代の流れを考えると、50年代~60年代初期がジャズのメインですから、

同じ楽器を使えば同じ音色を得られる、、、という点では、やはり5桁を選ぶことに意味があり、特に7万台あたりまでが、その意味ではより大きいといえる、

と思います。

逆に、11万や12万が5桁と同様と思いたい、、、、という人もいるかもしれませんが、これらは音色の点でも5桁とは違いますし、実際によく聞かれるのは65年以降の、多分67,8年あたりと考えれば、 7万台までの50年代サウンドとはかなり違う、、、、ということができます。

60年の境目である9万初期は、9万後期とはさほどかわらず、経験的にも10万初期も9万と変わらないものがあるので、62年製の9万後期あたりも、5桁に含めていい、、、でしょう。

楽器の良し悪しを述べているわけではないので、5桁がいい、、、ということでは決してありませんが、やはり5桁を選べば、明らかにジャズのその時代の音色が得られることは間違いない、、、、という意味で、5桁には大きな意味があるとということなんだと思います。

皆様のコメントお待ちしております。

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